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2019年2月号(620号) 私大はどこを選ぶか?
2019-02-01
 
2019年2月号(620号)
 
私大はどこを選ぶか?
 
 
        学園長 吉野 恭治
 
 
 
 18歳人口の減少とともに、各大学がその対応を次々と実施している。その発想はユニークなものが並んでいる。しかもその発想から垣間見える「明日の大学」が新しい進学指針を示しているように思える。大学は全く新しい時代へすでに突入している。このことをよく学んで受験や、進学を決めねばならない。2018年、日本にある大学は780校にも及んだ。ところが学生数が定員に満たなかった大学が200校を超え、大学総数の実に36%にもなっている。定員充足率が50%を割る危機的大学も増えている。
 
 文科省は都市集中の弊害を考え、東京23区内に19年度の学生定員の増加と学部・学科の新設は認めないとした。早稲田大学はこの方針を踏まえて、学生数の減員をすすめている。平成13年からすでに3000人の減員を実現したが、さらに6000人の減員を考えている。
 
 ところが中央大学は多摩キャンパスに20年から健康スポーツ科学部を新設して、増員・拡張を目指している。校地の面積は日本大学が30000000㎡、早稲田、慶応が2000000㎡を超えているが、23区内にあるため増員はできない。しかし中央大学は多摩に主キャンパスがあり、東京23区には入らない。思いのままに新学部の開設ができる。このように拡張と縮小の2つの方向をとる大学がある。
 
 国から各私学を応援する私学助成金というものがある。毎年交付されるが、これが大学の大きな収入源であり、各種計画の財源となっている。これは学生数で決まるのではない。学生数ももちろんだが、運営計画、研究業績、学部内容など加味して決まる。私学1位は90億円に達する早稲田、2位から4位は80億円台の東海、慶応、日大と続く。立命館が55億円、明治が42億円である。
 
 そしてこれらの助成金の多くの部分は、学生支援に使われていく。(表①)
 
 皆さんは早稲田のWISHをご存知だろうか。WASEDAINTERNATIONAL STUDENT HOUSEのことだ。中野駅から近い早稲田の学生寮で、ここだけでも900人、24か国からの留学生や日本人学生が入居している。1Fのエントランスはセキュリティつきのドアに、24時間体制のフロントデスクの警備、すべて11Fまでが個室、4つの個室が1つのユニットのように設計され、各階に自炊できるコミュニティキッチンもある。2Fにはフィットネス・音楽室・大浴場などがある。毎月の寮費はわずか53000円、まさに学生の支援である。学生寮に入れる学生数は早稲田が突出していて6500人。2位以下を大きく引き離している。(表②)
 
 学生支援のユニークさでは近畿大学も負けてはいない。東大阪キャンパスの「アカデミックシアター」はそのユニークさでも日本を代表するといっていいだろう。ことに5号館と呼ばれる建物は、実に7万冊の蔵書がある図書館で、ほかに学園祭のコンサートホールに中と外が一瞬につながる設計にも驚かされる。ここには24時間自習できる自習室があったりして、ほとんど驚きの斬新さである。こうした設備も大学の明日につながる。
 
 大学の活性状況を判断する材料のひとつに、科研費というのがある。科学研究費補助金のことで、公的補助金である。科研費は18年度は2286億円にも上るが、なんといっても国立大が上位を占めている。私大1位の慶応義塾は全体では10位で35億円。私大2位の早稲田は全体では13位で25億円、私大3位の立命館大学は全体では24位で12億円。科研費の増強はこれからの私大の努力目標となろう。(表③)
 
 受験生にとってより大切な指針は、教員一人当たりの学生数である。国際基督教大学がトップの位置を守り続けているが、早くから外国人教師を採用し、着々とその位置を上げていった。教師一人当たり、学生19人というのはなんともすごい気がする。キメの細かな教育というのはこうしたところから生まれてくる。(表④)
 
 ところでこれからの大学をいくらかの視点から見ていただけたと思うが、大学の評価を「偏差値」で片づける時代は次第に変わってきている。この傾向は2006年頃から現れはじめ、「偏差値」だけがすべてではないことに社会的な覚醒が起きている。親切な内容のいい大学はどこかというテーマで、2000校にも上る高校教師のアンケートでは実にユニークな内容になる。金沢工業大学は毎年1位を続けているが、その評価は2位の東北大の2倍を軽く超える。阪大や京大の11倍にもなる。さらに驚くのは就職率のすごさだ。卒業生300人までの規模では岐阜県立看護大など4校が100%、卒業生が1000人までの規模では富山県立大などが98%、卒業生2000人までの規模で金沢工業大98%、卒業生2000人以上の規模で芝浦工大96%などとなっている。高校教員へのアンケートは1位5点、2位4点、3位3点として集計したものである。新時代だ。
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