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新! 学校報「泉」 アーカイブ

若葉学習会学校報「泉」 第687号 (2024年9月号) 暗闇の中で  小西 芳彦

(世界遺産シリーズ) 気球飛び交うカッパドキアの朝 トルコ
君たち 僕たち① 



米子校舎 中学1年
杉原 光 さん




 知らないことばかり教えてくれました。三大バレエとして世界中で愛されているのは「白鳥の湖」「眠れる森の美女」「くるみ割り人形」。またバレエにはプリマ、ファーストソリスト、ソリストといった階級があること。彼女は現在ソリスト、「白鳥の湖」の3羽の白鳥役を練習しています。4歳からお姉さんを目標にがんばってきました。今もお姉さんから「どうやったらきれいに魅せられるか」を教わっているようです。
 今年は山陰バレエコンクールで個人3位、ジャパンバレエコンペティション広島大会で7位の成績を収めました。9月にはバレエスクールを通じて公演が予定されています。
 先生から左手が伸びきっていないと注意されました。動画で撮影してもらい確認しました。たったそれだけのことと思われるかもしれませんが、一連の動作の中ではうまくいきません。それでも「先生からできないと思われていたら、注意をしてもらえないと思っています」と前向きです。でもだんだんとできるようになってきていると笑ってくれました。
(担当 佐布)

君たち 僕たち② 






倉吉校舎 中学3年
三嶋 春壱さん


 春壱くんは中1から通学し、常に倉吉校舎では成績トップクラスの模範的な生徒です。彼のお母さんと懇談会の際、今度セカオワのライブに行くので、欠席補習をお願いしますと聞いて、初めて彼の趣味を知ったのです。
 「じゃあ、明日はそのTシャツを着て来てくれ。」春壱君に取材を申し込んだのは毎日若葉に来ていた夏期講習期間でした。服装を指定した生徒は、20年来初めてのこと。次の日、写真にある彼が着てきたTシャツは今年の6月にセカオワのライブに行った時のライブTシャツです。セカオワファンの方ならご存知でしょう。「ライブ当日は期末テスト前で不安だったけど、曲を聞いてがんばろう!という気持ちになれました。」と目を輝かせながら語ってくれた彼に別の一面を感じました。そして同時に私と彼との距離が近くなった瞬間でもありました。
 将来の夢はドラマの影響から薬剤師になることだそうです。これからその目標に向かって頑張る彼に、きっと音楽が寄り添い支えになると感じました。
(担当 濱)

卒業生はいま 







ANAクラウンプラザホテル米子水木しげる記念館 勤務
 上灘 千紘 さん



 
 今年の四月にリニューアルオープンした水木しげる記念館に勤務する上灘千紘さん。クラーク高校の卒業式では、全専各連会長表彰、学業優秀賞、皆勤賞など表彰を独占しました。私が知っている限りでは、成績、人格共に抜群に優秀だった生徒です。
 そんな彼女が望めば大学進学でも容易にできたであろうに、選んだ道は地元への就職。一度は旅館に就職するも、足のケガが原因で退職。しかし、その旅館での接客スキルが今の職場でとても活かされているそうです。リニューアル前の職員がほとんどなので、職員の中では最年少の上灘さん。先輩職員の方からの信頼は厚く、様々な仕事を任されるようになりました。ちょっと笑ってしまったのが、少し暗めの館内を見回りしている時、お客さんに妖怪と間違われ悲鳴をあげられたことがあったそうです。もちろん本当に妖怪を演じているときもあります。土日や祝日は、千人を超える来館者があり大忙しのようです。
 仕事の話を聞いていたつもりですが、いつのまにかクラークでの思い出話が盛り上がってしまいました。何が一番楽しかった思い出かと聞くと、私達との雑談。確かによくしゃべった記憶があります。一日中人生相談をした日もあったなあと思い返して、また二人で笑ってしまいました。今度はクラークの特別活動で、生徒を連れて上灘さんのいる水木しげる記念館に行ってみようかなと計画中です。その時はよろしくお願いしますね。
(担当 兼折)

学園ニュース









変わる共通テストに立ち向かう大学受験科の生徒たち。
(米子校舎) イズム大学受験予備校

 毎年、大学受験科では夏休み期間に、2日間にわたり河合塾の共通テスト模試を行います。前期の学習の成果を確認する重要な機会なので、これに向けて、自習室に勉強に来ている生徒も多く見かけます。大学入試は今年度から新課程入試が実施されます。共通テストには、情報の試験が新たに追加され、さらに、国語、数学②の試験時間が10分延長されるので、長い人だと10時間弱も試験を受けることになります。長丁場で大変そうですが、普段の勉強で思考の持久力が身についているため、集中力を切らすことなく、受験できているようです。試験が終わり解答が配布されると、皆さんすぐに自己採点を始めます。納得できる点数が取れているといいですね。
(担当 板見)

職員随想 








暗闇の中で
小西 芳彦


 「群れるな」というテーマの随想を書いた。授業でよく話す内容、すなわち「折に触れて思うこと」であるから随想の定義そのものだ。故にこの欄に書くのが最適の解だと考えた。あれから1年半がたった。その間に何人かの教え子から「大学生になって、群れないことの大切さがわかった」という旨のメールを頂いた。それだけでも書いてよかったなと思った。今回も定義に沿って、日々の思考をつらつらと書き綴ろうと思う。本質をぼかしているので読みにくさは残るだろうが、悪しからず。
 『大切な野球の試合で、練習をさぼってばかりのメンバーのエラーで逆転負けを喫したとする。このとき周りの反応としておこりうるのは大きく分けると次の2つ。「まじめにやれよ!」と本気で叱る。「ドンマイ!しょうがないよ」とヨシヨシする。さて、どちらが本来あるべき姿か?』この問いについて考えたい。「こんなことに正しいも何もない」と思われるかもしれないが、僕はそんなことはないと思う。世の中のきれいごと大好き人間は「正解はない」だとか「どちらも正解」とかよく言うけれど、それは単なる思考の放棄、または真実と向き合う怖さから逃げているだけだ。少なくともそういう人たちは、暗闇の中でもがきながら正解を探す、数学という学問には不向きである。本題に戻ろう。おそらく学生目線でいけば「まじめにやれよ!」が正解という人が多いだろう。そして僕もその通りだと考える。面と向かって叱ってあげることで何かがかわるかもしれないのに、ただ甘やかすだけでは機会を逃すばかりか事態は悪化する。一生懸命やっている側は、勝てる勝負をふいにされた上に「あんなことで許されるのか⁉」とぬるま湯に嫌気がさしてやる気をなくす。逆にサボった側は「あぁこれでいいのか!ちょろいな!」と思い手を抜き続けるから成長しない。なあなあですませることは、結局誰のためにもならないはずだ。ただのヨシヨシは、優しさに見えて実はチームプレーとは真逆の行為。なんだかこの問いは一択問題に思えてきた。
 そんな当たり前のことが、大人になるとわからなくなる傾向が強いことも知った。大人はよく子供に偉そうなことを言うけれど、僕は昔から大人のほうが必ずしも偉いとは思えなかったし、今でもそうだ。自分より生徒たちのほうがすごいな、頑張っているなって思わされることが多いから、そう伝えてあげることがある。小学生からは同等に見られることもあるが、それで良い。高校生は、多忙の中全力で頑張ってくれるから頭が下がる。「家族旅行を断って夏期講習に来た」と言う子もいた。凄すぎる。
 それに比べて大人はどうだろう。きれいごとや忖度ばかり。自分のことは棚に上げて、子供達には偉そうなことをいう。そんな残念な人たちの背中を幼いころからたくさん見てきたし、ずっと嫌いだった。大概そういう人はプライドやコンプレックスの塊か、ただの努力しないサボり魔かのどちらかだったからだ。「あなたたち、偉そうなことを言える立場にありませんよね」と。もちろん、すごい大人にもたくさん出会ってきたことは言うまでもない。
 人に教える職に就き、結局は僕も偉そうなことばっかり言っているなと嫌になる。でも、少なくとも数学においてはそれなりのことを伝えてあげられる立場でいたい。だから、暗闇の中でもがき続けるのは正直つらいけれど、常に正解を探し続けて努力あるのみ。結論、数学は怖い(笑)。

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