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新! 学校報「泉」 アーカイブ

若葉学習会学校報「泉」 第666号 (2022年12月号) ゾウの時間、ネズミの時間 校長 小田原 利典

今月の短歌


障子越し 鉛筆の音 兄の部屋
私も負けじと教科書開く


米子校舎 中学3年 
    金田 穂花



君たち僕たち① 
米子校舎 中学1年
中井 蒼真さん



 中井君は、小6から若葉に通学しています。勉強に非常に熱心に取り組んでいて、毎月の月例テストでは、常に上位をキープしています。若葉の予習授業のおかげで学校の授業も非常に分かりやすいそうです。
 彼は、勉強だけでなくスポーツも得意です。小学校2年生のときに、お母さんの影響でテニスを始めました。現在も、学校の部活動では軟式テニス部に所属しています。学校の部活動だけでなく、境港ジュニアというクラブにも入っていて、そこでは硬式テニスに打ち込んでいます。長年にわたってテニスを続けているだけあり、その実力は確かなものです。小6と中1のときに中国大会まで進出したというのですから、凄いですよね。テレビでテニスの試合を見るのも好きで、男子テニスでは、ようやく世代交代が起きそうなので楽しみですね。
 また、最近はプログラミングにも興味があるそうです。今後は、学校の情報の授業で、プログラミングを習うことがあると思いますので、楽しみが増えますね。  
(担当 板見)


君たち 僕たち② 
大学受験科
石倉 慎次郎さん




 大学受験科の座席は五十音順で決まっているので、石倉くんは大体一番前の席に座っています。真摯に授業に向かう姿勢がとても印象的な生徒なのですが、その源が中学・高校を通じた野球部での体験にあることが、今回の取材で分かりました。
 石倉くんは境港の出身。境二中から境高に進学し、そのどちらでも軟式野球部に所属しました。ところが、中学も高校も部員が足りず、試合をするには他校との合同チームを作らねばなりません。そんな中、中高ともに部長を任された石倉くんは、他校との調整役を担うことになったそうです。練習方針やポジションなど、ちょっと想像するだけでも大変そうな役割ですが、その経験を通じて、コミュニケーション能力を高めることができたと話してくれました。
 地元で高校教員になるのが目標の石倉くん。あなたの能力は、まだ目に見える数字になっていないかもしれません。でもそれは、実社会でこそ輝く力です。決して諦めず、真っすぐ進んでいってほしいと思います。
(担当 鈴木)




卒業生はいま 

ソプラノ歌手   松原  愛実 さん     
 
 去る十月十六日に米子市公会堂で「松原愛実ソプラノコンサート」が開催されました。地元で開催する初のソロコンサートとあって、スター候補に期待を寄せる多くの観客が集まりました。オペラのアリアからミュージカル調のコミカルな演目、そして日本の唱歌まで、バラエティーに富んだ素敵なコンサートでした。   松原さんは、淀江中から米子東高校を経て、「芸術界の東大」と言われる超難関東京藝術大学に現役で合格しました。甲子園予選の開会式での「幻の行進歌」の独唱者に抜擢されるなど高校生の頃から注目を集め、本校卒業生でオペラ界で主役を張るテノール歌手山本耕平くんにも師事するなどし、スキルを向上させました。
 一方、松原さんの大きな特徴は底抜けに明るい人間性。大学時代にはそのキャラクターを活かして明石家さんまさんのテレビ番組に出演したり、ユーチューバーと共演したり、ファッション雑誌の読者モデルに挑戦したりもしました。先のコンサートでも「アンコールに踊りながら出てきたソプラノ歌手は私が初めてでは?」と言って観客を笑顔にしていました。
 その魅力的な人間性は本校の教室でも発揮されました。先日帰省した際に高校三年生のクラスに登場し、生徒からの質問に真摯にユーモラスに応え、なんと歌も披露してくれたのです。生徒からは「楽しく貴重な時間」「魅力的な先輩」「歌声に鳥肌!」などという感想が聞かれました。明るく前を見て努力を重ねる松原さん。生徒諸君の見本となる素晴らしい先輩です。  
 (担当 門脇)


 

学園ニュース(松江校舎)

今日も松江校舎の1日がはじまります。

 今までは自習室開放時間の5時半に向けて、5時をめどに教室の清掃を完了していましたが・・・もう来ちゃいました。 現在4時20分、学校帰りの中学生が登校してきました。10月から中学3年生は通常の週2日の講義時間の前に、一時間の英数の高校入試対策を始めました。部活動引退の時期を迎えた彼らは、今までより1~2時間早く登校し、意欲的に学習に取り組むようになってきました。
 その他の学年も負けていません。中学1年生はとても仲が良く、分からないところを教えあっています。高校生は、講義は週2回ですが、毎日のように自習室に足を運ぶ生徒もいます。さてと、今日も早めに掃除をしなくては。
(担当 河田)



職員随想 




ゾウの時間、ネズミの時間
  
 校 長 小 田 原 利 典



 新型コロナウイルスも次々と変異し、コロナ禍が続く。早くも3年目となり、時間の経つのはおそろしく速い。自分を中心にして周りを見ると、春夏秋冬の移り変わりを始め、さまざまなことがおそろしい速さで動いているような気がする。同世代の知人にそのことを尋ねると、やはり同じように感じるという。なぜだろう。
 ところで、「時間」とはいったい何か。説明せよといわれると、言葉に詰まる。鴨長明の方丈記の冒頭、「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず・・・」という一文のイメージで時間を捉えることができるが、われわれは時間を知る感覚器を持っていない。水の流れは運動であり、何かが動く、変化するところに時間がからんでいるように見える。しかも、過去から未来へ矢のように一方向に進む。時間はどうやって計るのか?。それは周期的現象の周期を単位として計る。ガリレオは振り子の運動を自分の脈拍で計ったという。ヒトは時間を計る装置として時計を発明し、利用している。現在はセシウム原子の内部状態の周期的変化を基準として一秒が決められている。17世紀後半、ニュートンは力学を完成させるとともに、時間について、縦・横・高さの3次元空間において、何にも影響されず、いつでもどこでも一様に流れる「絶対時間」として定義した。物体の存在とは無関係に時間は存在している。今日、われわれの多くは、日常では時間をそのように理解している。日常生活ではそれで十分であり支障はない。ところが20世紀に入って、天才物理学者・アインシュタインが特殊相対性理論を発表し、時間と空間を結びつけて、それらは観測者の運動状態によって、伸びたり縮んだりして変化するという衝撃的な理論を提出した。この驚くべき現象は、現在、実験的にも証明されていて事実である。
 ところで、生物学者・本川達雄氏の書かれた「ゾウの時間ネズミの時間」という本がある。本川氏はニュートンの絶対時間に対して、動物の体内に見られるさまざまな周期的現象を時間を計る単位として用い、生物的時間というものを定義して考察する。ネズミは心臓の拍動が0.1秒に1拍なのに対して、ゾウは3秒で1拍だ。サイズの小さい動物ほど心周期が短く、大きくなるにつれて長くなる。それらは体重の4分の1乗に比例するという。これは心臓だけでなく肺でも腸でも筋肉でも運動周期は体重の4分の1乗に比例する。これを生物的時間とみなすならば、動物の時間は体重の4分の1乗に比例するといえる。また、標準代謝率(エネルギー消費量)を定義すると、生物的時間は体重の4分の3乗に比例するという。いま、体重が30グラムのハツカネズミと3トンのゾウがいるとき、ゾウではネズミよりも時間が18倍ゆっくり流れていることになる。同じ地球上で、すべての動物に万物共通の絶対時間が流れているとしても、ゾウとネズミは同じ世界に生きてはいない。それらの時間の持つ意味や、生き方が動物ごとに異なり、違う時空、違う世界にいると考えた方が良さそうである。
 このような生物的な時間の関係は年齢によっても差が現れるという。ヒトでは子供の1時間が大人の2時間に相当し、歳をとるごとに差は増加していく。なるほど、筆者のような老人にはゆっくり時間が流れ、まわりがおそろしいスピードで変化していくわけだ。ニュートンの絶対時間から離れて、生き物の時間について考えていくことは、新しい科学の登場を予見させる。


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